銀行のATMコーナーに寄った際、円定期預金5%というチラシが目についた。
よく見ると、退職金の運用などで、資金を円定期預金50%以下、
ファンドラップ、または投資信託50%以上で運用すると、
円定期預金の当初3ヶ月の金利を年5%で運用できるというもの。
手数料の負担
円定期預金5%と言っても、当初3ヶ月のみの金利で、
満期到来時からは店頭表示金利となる。
例えば、退職金1,000万円を、円定期預金500万円、
ファンドラップに500万円と、半分ずつ投資した場合、
円定期預金で、500万円×5%×(90日/365日)=61,643円。
定期預金の3ヶ月後の満期到来後は、年利0.01%くらいでしか運用できない。
一方で、ファンドラップは、商品によって違うが、年間手数料が1.375%程度かかる。
そのうえ、運用する投資信託の信託報酬が、これも商品によって違うが、
1%以上負担することになる。
直接的に負担する年間手数料が、500万円×1.375%=68,750円。
ファンドラップのような商品は、短期間の運用では意味がないので、
少なくとも5年や10年間運用することになる。
5年間運用すると、343,750円の手数料となる。
円定期預金でもらった約6万円の利息は、わずか1年間も経たずに、手数料で消えてしまう。
ファンドラップとは
一方のファンドラップとは、もともとラップ口座と言われ、
証券会社やプライベートバンクなどが、顧客に代わって代理で運用するもので、
投資や運用を一任する「お任せ」形態の商品である。
ラップ口座のようなサービスは、数千万円~数億円くらいが最低預入単位であったが、
300万円くらいから運用できるようになり、ファンドラップと呼ばれるようになった。
運用会社は、運用方針、リスク許容度、投資期間などをヒアリングして、
出資者と投資一任契約を締結して運用する。
円定期預金5%に惹かれ、よく理解しないで投資すると、
ファンドラップの年間手数料と、運用する商品の信託報酬を合計すると、
運用資産の2~3%程度の手数料を負担することになる。
第二のグロソブ
ファンドラップは、2014年ごろから、契約件数、金額とも伸び続けている。
一時、銀行が大量に販売していた毎月分配型のグローバル・ソブリンオープンが、
分配金が減少して人気が低下、資金が流出した頃である。
ファンドラップの商品性をよく理解して投資するのならよいが、
わずか3ヶ月の定期預金利率ばかりに目が行くと、
高額の手数料を払うことになる。
高齢者の投資で、特に大切な退職金を運用する場合、
商品内容を自分自身でよく理解することが重要である。
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